いまさら。
と呼ぶにも今更すぎるのですが、終演のご挨拶。
2019年8月
Mrs.fictions『月がとっても睨むから』
アガリスクエンターテイメント『発表せよ!大本営!』
両作品とも無事に幕を下ろしました。
ご来場まことにありがとうございました。
ずっとずっとブログを書きたかったのですが、
もっぱらツイッターの更新になってしまい、
ブログはまとまった時間に、ちゃんと向き合って書くぞ!
とか気合い入れてたら時間は虚しく過ぎ去り気合いも何処かへ行ってしまいました…
今まとまった時間が出来たのでレッツ書いてみよう。
「熊谷有芳 演劇生活20周年ーミセスアガリスクの夏ー」
と銘打って挑んだ8月。
さらに7月にはさつまゴルフリゾートでの「週末ドラマナイト」のため鹿児島公演もあり、とにかく怒涛の夏でした。
全てに出る選択をして、
本当によかったと思っています。
気がかりだったのは体調と衣装の仕事。
稽古場をあっち行ってこっち行って、
買い出しして衣装作って、
さらに引越しもあって、
鹿児島にも行かなきゃだし、
正直体をいつ壊してもおかしくないと覚悟してました。
しかし最後まで体調はバッチリバッチリでした。
夜ふかしも多かったし休息の時間は0だったし、
不思議と言えば不思議ですが、
強いて言うならずっと楽しかったのと、
ねむい!と思ったら寝てたのがよかったかもしれません。
とにかく衣装の仕事に追い詰められてたんですが、
経験上、「やばい…間に合わない…どうしよう…」と自分を追い込むと精神衛生が悪くなり体調にも影響しかねないので、「きっと間に合うさ」の精神である意味楽観的だったのがよかったかもしれせん。
Mrs.fictions『月がとっても睨むから』
この公演は、2018年8月に上演されるはずだったもの。
苦しみの中、今度こそ生まれた戯曲はとても素晴らしくて、大好評をいただきました。
罪を犯した人、その被害者、そこに関わる人たちの罪と赦しがグルグルと代謝していく世界。
Mrs.fictionsの作品には悪人と呼べる人があまり登場しない印象がありますが、今回もそうでした。
それでも、小児性愛と拉致監禁という、題材としてはこれまでにないくらいヘビーです。
結局、本当に許してもらえたとか許せたとか、
もはや本人たちにもよくわからずやり過ごしてしまってることは多いんじゃないかと思います。
ミツオが「本当は許せてなかった」と気づくのが本作品でのものすごい転換点で、
その、自分の本心に触れてしまうことの危うさってきっと誰しもあると思います。
その「許せなさ」を知らないふりして、そっと何処かに仕舞ってた。
蓋を開けたら、それは燃えるように熱かった。
それでもミツオが美奈子に「許す努力をする」という、等身大以外の何物でもない、
錦糸町の長として昇りに昇りつめたミツオから出てくるその飾らない言葉が、わたしはとっても素敵だなと思っていました。
月がずっとこっちを睨むように、罪はいつまでも何処からかわたしを見ているけれど、
誰かの意思一つ・自分の意思一つで、
消し去ることの出来ない罪とも、前より少しだけ上手に付き合っていけるのかな、なんて思います。
まこちゃん

*こんなシーンはありませんが、やさしいのすけが凄くかっこいいね
さて、わたしがいただいた「まこと」という役。
幼い頃に強く強く憧れてたセーラージュピターと同じ名前…そしてビジュアルもちょっと寄せてた…
母に「まことに改名したい」と直談判したほど好きだったまこちゃん…
し、幸せでした。。
さらにまことはショタ漫画家として成功を収めるのですが、
漫画家は小学生の頃の将来の夢でした…
夢が二つも叶っちゃった。。
中嶋さんは神様か何かなのかなと思います。
ミセスによく登場するヤンキー要素をやれたのと、めちゃくちゃおいしい台詞の数々で言うのが楽しかったなぁ。
いやおいしい台詞なんて言い出したらキリがないほど、中嶋さんの書く言葉はどれも味わい深いんですけどね!
座組
昨年の上演延期と振替上演を乗り越えたわたしたちは、
なんだかものすごく強かったです。
楽しかった。
もはや家族みたいでした。
こんな座組、そうそう出会えないしそうそう見れないと思います。
今度こそこの物語は完結し、公演は終わりました。
だけど、またこの人たちに会いたいな、って思います。
月の光に導かれなんとやら。
信じているのミラクルロマンスとやら。
さて次、
いやいや一個の公演でこんなに書いてたらすごく長くなるよ?大丈夫?(書くほうも読むほうも)
ついてきやがれ!
アガリスクエンターテイメント
『発表せよ!大本営!』
マイホームカンパニー、アガリスクエンターテイメント。
こんな無茶なスケジュールを組んだのも、
全ては自劇団に甘えさせてもらうっていう前提があればこそでした。
なので本当にありがとうございました。
本当は出ない予定でした。
そもそも作品的に女子は出れないのではという話で。
なんやかんやで皆出ることになり、
でもわたしはフィクションズあるからどうしよーうって思ってて。
でもやっぱり、アガリスクのみんながおもろいことやってるのに、観るだけとか、お手伝いとか、
うーん、辛抱ならん!って思っちゃったんです。
なので冨坂さんを「これスケジュール的に稽古も出来まっせ。。」ってそそのかして出ることになりました。
その上で、さつまゴルフリゾートの話もあり、
それもどうしよーうとは思ったんですが、出たーい!となって2ヶ月で3本+衣装1本をやることにしました。
まぁ、やっぱり無茶苦茶なスケジュールですねぇ、我ながら。
自信にもなったけど反省も数多。
そんなこんなで出ることになった劇団の本公演。
いやとにかく衣装がかつてないほど大変でした!!
軍服が!!もう!!
しかしそのスケジュールのことも含め、衣装について沢山お褒めに預かりまして光栄of光栄です。
みんなに力を借りるってことも含め、自分の実力が痛いほどわかった公演でした。
お褒めに預かるといえば公演は大の大盛況でした。
連日ほぼ満員or超満員。
作品もすっごくご好評いただき、こういうブラックなのが似合うし喜んでもらえるのだなと思いました。
客演さんもみんなハマってて素敵だったなぁ。
北川竜二さん演じる富澤大佐の「ヒライリィィィ……!!!!!!」という地獄の底から出てきたような声を聞いて、楽屋で「ひぃ〜」って言うのが毎回の楽しみでした(笑)
自分は熊川ハルさんという、甘味処の店員役でした。
そのために、ゆきちゃんと神田の「竹むら」という甘味処へ取材にも行きました。
親切にご対応くださり、本当に感謝です。
そしてあんみつとても美味しかった。
これは裏話的なことですが、
アフタートークなどでも話した通り、
市井パートにゆきちゃんの演じた綾子さんはいなくて、川上献心くんの演じる青年がいるはずでした。
その頃は、自分の提案でハルさんはあんみつが大好きという設定があり、
あんみつへの愛を語るシーンがあったりしました。
が、稽古途中でのお仕事パートとのトレードにより、市井パートはハルさん・勇太・綾子さんの3人になり、
あれやこれやの組み替えの中で、
あんみつが好きな綾子さん、
それをきっかけに勇太がハルを好きになりあんみつを注文する…といった流れになったのでした。
だから、本当はハルさんもあんみつが好きなんですよ♡
また、婚約者を日中戦争で失っている、
ほぼ未亡人と言って差支えない役でした。
わたし、なぜだか結婚にまつわる役が多くて、
▽コントでは
プロポーズされる(『始球式プロポーズ』)
結婚パーティーの新婦(爆弾魔)(『エイジ』)
マリッジブルー(『切ない恋』)
▽本公演では
結婚したいしたい(『わが家の最終的解決』)
(ほぼ)未亡人(『発表せよ!大本営!』)
▽番外では
結婚式直前に逃走(『ここだけの話』)
離婚していた(『それからの話』)
さらにMrs.fictionsの『月がとっても睨むから』でも最後には結婚しました。
あと随分昔ですが、劇団銀石の『ナスカ』でも結婚式を挙げました。
それはさておき。
ハルさんは、とても女性らしい人で、
まこちゃんとは(そしてわたし自身とも)大違いです。
女性登場人物の少ない作品で、その中でも「モテ」の存在だったので、まぁ〜遠い存在でした。
色んなものをかき集めてどうにかハルさんになれたかな?と思います。
自分の中での裏テーマは「戦争被害者」。
この作品、海軍のお偉いさんたちを中心としたお仕事モノでした。
ですが、戦争を画策している人がいれば当然戦争を実行している人々もいて、
ハルさんの婚約者・横山誠一さんはその中で戦死した人でした。
まだ正式に家族になれてなかったけど、遺族、みたいな存在。
あの作品で明確に描かれた戦死者は下山大佐と誠一さんだけ。
下山さんは軍人として、ハルさんは一般人として、
「戦死」を背負ってる人だったと思います。
それにしても登場しない誠一さんはともかく、下山さんの自害はなかなか衝撃。
アガリスクの作品で人が死ぬの珍しいです。
誠一さんへの未練はあるものの、
自分に思いを寄せる勇太に心惹かれクライマックスで結ばれる…のが、とんでもない皮肉だなんて、
なんて意地悪な脚本なんざんしょ。
いやでも大本営の改竄・隠蔽は史実だからね。
とんでもない国ですよ、本当に。
そしてそれが、現代の国家に対する皮肉にもなってるのがすごく好きなポイントでした。
最後になりますが、
両作品合わせて、沢山のお客様にご来場いただき、本当に嬉しく、幸せに感じています。
また、わたしとしても、この短いスパンでは個人的な集客が難しいだろうなと思っていたのに、
どちらにもたくさんの方にお越しいただき感無量です。
自分のお客様がどれだけいらした、みたいなのをこういう場で発表したりするの好きじゃないんですが、
このたくさんの方々に向けて「たくさんありがとう!!」を伝えたいので言わせてください。
本当に皆様のご来場ありがとうございました。
さて、わたしの次回出演はちょっと先になりまして、
1月22日〜27日の国府台ダブルス『卒業式、実行』です。
お世話になっているfilamentzさんにお声掛けいただき、『いざ、生徒総会』との再演二本立てです。
いずれも衣装を担当します。
冬には大忙しでヒーコラ言うかもですが、
もうしばらくはゆったりした時間を過ごそうかと思います。
それでは、お読みいただきありがとうございました。
今後も熊谷有芳をよろしくどうぞ!
○●オマケ●○
セーラージュピターオマージュの高いポニーテール!
くるくる巻くスタイル好き!
ポイントは顔にかかる邪魔な前髪。
見た目への頓着のなさと、顔を隠すことによって罪の意識を。
ポンポンとドレスアップver.のイヤリングは手作り!
イヤリングはくっつけただけですが。
緑のヘアアクセの少なさに絶望しました。
鮮やかな緑って、あんまり出回ってないのねー
▽ハルさんの髪型
シンプルな一つのお団子と、
ロールしてる前髪。
ちなみに初期は片側ロールでした。
ほんとはもっとウネウネしたやつを作りたかったんですが、
やり方見てもマジで出来なくてやめました。